宿泊業界でよく聞くリードタイムとは？民泊での活用法と戦略を解説！

「宿泊業界で使われるリードタイムってそもそも何？」
「民泊運営にどのようにリードタイムを活用すれば良いか分からない…」

民泊を運営していると「リードタイム」という言葉を耳にすることがあります。

リードタイムは、宿泊者が予約を入れてから実際に宿泊するまでの日数を指します。宿泊業界では広く使われる指標であり、ホテルや旅館だけでなく、民泊運営においても重要な意味を持っています。

リードタイムを把握することで、予約が入りやすいタイミングを予測したり、適切な価格設定を行うことが可能です。結果として稼働率の安定や収益改善につながるため、民泊オーナーにとってリードタイムは欠かせない視点です。

この記事では、宿泊業界で使われるリードタイムの基礎知識から考え方、リードタイムが長い・短い民泊の特徴を解説しています。

リードタイムを民泊運営に活かす方法まで紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

宿泊業界で使われるリードタイムとは

リードタイムとは「予約から宿泊までの日数」を意味します。例えば、ゲストが4月1日に予約をして、実際に宿泊するのが5月1日であれば、リードタイムは30日です。

ホテル業界ではマーケティングや収益管理にリードタイムが用いられており、宿泊需要の予測や価格戦略を考える上で重要なデータのひとつとなっています。

民泊においても同様に、リードタイムは「ゲストがどのくらい前に予約をするか」という傾向を把握できる指標です。リードタイムを知ることで価格の調整など、民泊運営を効率化できます。

リードタイムは単なる数値ではなく、民泊運営を安定させるための重要なヒントとなるのです。

宿泊業界で使われるリードタイムの考え方

リードタイムは長い場合もあれば短い場合もあり、予約の入るタイミングによって対策は大きく異なります。

ここでは3つのケースを見ていきましょう。

90日以上前

リードタイムが90日以上の宿泊は、計画的な旅行や団体旅行、家族旅行などのケースが多い傾向にあります。特に大型連休や観光シーズン、年末年始などはさらに早い段階から予約が入ることも珍しくありません。

また、海外旅行者は半年以上前、場合によっては180日以上前から宿泊先を検討することもあります。実際に、2024年には出発60日以上前の航空券予約率が2019年比で6ポイント増加し、全体の40％を占めたというデータもあります。
出典：世界の最新データで読み解く「訪日市場の変化」、航空座席はプレミアム人気、14日以上の長期滞在が増加、旅行データ会社の分析を聞いてきた・トラベルボイス

早い段階で旅行の計画を立てる傾向が強まっており、宿泊予約も連動して早まっているといえます。

リードタイムが長い予約は、長期滞在に発展するケースも多く、民泊オーナーにとっては収益の安定や稼働率確保につながる点がメリットです。

リードタイムが長い予約の取り込みには、半年以上先を見据えた価格設定や、早期割引プランなどの工夫が有効です。

1〜2ヶ月以内

1〜2ヶ月前の予約は、比較的柔軟に計画を立てて予約される事が多く、2,3人の友人同士の旅行や、カップルでの旅行が多くなる傾向があります。

Tabiiiでは、東京の物件は50日前までに満室を目指すことが理想と考えています。直近になると「空室を埋めたい」と考えて宿泊料金を下げざるを得ないケースが増えるためです。

民泊オーナーにとっては、早期に予約を取り込んで安定した稼働率を確保することが、収益につながります。

当日・前日

リードタイムが短い宿泊は、日本人ゲストや急な予定変更・突発的な旅行による予約が多い傾向にあります。特に平日休みや、急な出張・用事が入った旅行者は「空いていれば予約する」という意識で、当日や前日に宿泊先を探すケースが目立ちます。

ホテルではビジネス利用などの直前予約が一定の割合を占めるケースもありますが、民泊では直前予約を積極的に狙う必要はほとんどありません。直前予約は清掃スケジュールや鍵の受け渡しなど、オペレーションの負担が増えてしまいます。

民泊運営では、直前予約を空室対策の補助的な戦略として位置づけることが効果的です。たとえば、稼働率を上げたい時期に限定して直前割引プランを設定するなど、無理のない範囲で柔軟に対応しましょう。

一方で、都市圏では長期・先行予約の需要が多い傾向あります。直前予約に依存せず、リードタイムの長い予約を軸に運営することが理想です。

リードタイムを民泊運営に活かす方法

リードタイムは単にデータを把握するだけでなく、実際の運営戦略に結びつけることで初めて価値を発揮します。

民泊オーナーが収益を安定させるためには、リードタイムごとの予約傾向を理解し、それぞれに応じた施策を取り入れることが欠かせません。

ここからは、リードタイムを活用した効果的な民泊運営方法を紹介します。

予約が集中する時期を予測する

リードタイムを分析することで、予約が入りやすい時期を把握できます。

例えば、夏休みや年末年始などは3ヶ月以上前から予約が動く一方、平日の都市部ビジネス利用は1週間以内に集中することが多いです。

宿の立地やターゲットによって異なりますが、予約の傾向を把握しておけば、効率的に料金の調整が可能です。

リードタイムをもとに事前の準備を最適化することが、スムーズな民泊運営と稼働率の安定につながります。

適切な価格設定を行う

宿の需要が高まる時期を把握したら、リードタイムをもとに価格戦略を立てると効果的です。

海外のゲストをターゲットにする場合は、各国の連休事情も考慮しましょう。

例えば、タイの祝日は日本と大きく変わらない一方、韓国では10月に大型連休があります。韓国から近い福岡では、この時期に韓国からの予約が集中する傾向があります。

タイの祝日
韓国の祝日

エリア特性などから、どの国から訪日するゲストが多いのかを分析すると良いでしょう。

特性的に多い国のカレンダーを先読みして料金を調整することで、リードタイムの長いゲストを高単価で取り込み、安定した収益につなげることもできるでしょう。

リードタイムごとに効果的な施策を打つ

リードタイムを把握したら、予約が入るタイミングに応じて適切な販促を行うことが大切です。

例えば、リードタイムが長い予約には早期予約割引や長期滞在割引を提示し、計画的に旅行を準備するゲストを取り込むことが有効です。

一方で、1〜2ヶ月前の予約が多い層には、魅力的な写真やレビューを充実させて比較検討中のゲストの目に留まるよう工夫しましょう。

直前に宿泊先を探す層については、基本的に民泊では狙う必要は少ないものの、空室が出た際には直前割引や即時予約の設定を行うことで販促効果が期待できます。

リードタイムごとに戦略を分けて取り組むことで、中長期的な宿運営を実現できるのです。

リードタイムを把握して民泊運営に活かそう！

この記事では、リードタイムの基礎知識から考え方、リードタイムが長い・短い宿泊の特徴、リードタイムを民泊運営に活かす方法を解説してきました。

リードタイムは単なる「予約までの日数」ではなく、民泊運営を安定させるための大切な指標です。自分の物件のリードタイム傾向を知り、早期予約層・中期層・直前層に合わせた対策を講じることで、稼働率と収益は大きく改善できます。

民泊は「空室リスク」との戦いでもありますが、リードタイムを活用すれば予測と準備が可能です。

ぜひリードタイムのデータを取り入れて、自分の運営スタイルに合った戦略を実践してみてください。