民泊トラブル対処法|オーナーとゲストが知っておくべき対策と解決策

サムネイル

「民泊を始めたいけど、トラブルが怖い」
「ゲストが騒いで近隣住民とトラブルになったらどうしよう」

コロナ禍からのインバウンド完全復活により、訪日外客数は増加し続け、民泊施設でのトラブル報告が増加しています。

ホテルより自由度高く泊まれる民泊施設は、多くの観光客に選ばれるようになりました。

実際、平成30年6月の民泊新法施行時には4,724件だった民泊施設は、令和5年3月には26,487件にまで増加しています。ただ、それに比例してトラブル数も増えている現状です。※出典:観光庁

この記事では、オーナーとゲストの視点で民泊で起こりがちなトラブルを紹介し、民泊施設が受けるリスクやトラブルの対処法も解説します。

トラブルを事前に把握し、対処法を知っておくことで、問題を未然に防いだり、起こった事態にも落ち着いて対応できるようになります。

民泊運営のトラブルに不安を感じる方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

民泊オーナーが体験したトラブル事例

民泊運営を始めると、さまざまな国の人とのかかわりが増え、これまで経験したことがないようなトラブルに直面します。

問題に対処するためには、まず実態の把握が大切です。ここでは、民泊オーナーが実際に体験したトラブル事例を3つ紹介します。

セキュリティ問題

民泊運営において、セキュリティ対策はとても重要ですが、鍵にまつわるトラブルは多く存在します。

例えば、部屋の鍵が開かない・壊れている、などの問題が発生すると、ゲストは部屋に入室できないだけでなく、その後の予定変更を余儀なくされる事態も考えられます。

●子どもを抱っこした状態で鍵が開かない
●大量の荷物を持ったまま入口で待ちぼうけ

宿に到着してすぐに上記のような事態が起きれば、施設やオーナーへの信頼は無くなり、施設評価の低下につながることは理解できるでしょう。

また鍵の紛失は、不法侵入のトラブルにつながる可能性があります。鍵を紛失した際は、鍵の交換をして、セキュリティ対策を行うと安心です。

騒音・ゴミ・匂い(タバコ)トラブルで近隣から苦情

民泊施設の騒音・ゴミ・匂いの問題は、近隣住民とトラブルが起こりやすいトラブルのひとつです。

特に民泊がマンション内の一部や住宅街にある場合、住民は日常生活に支障が出るトラブルを抱えることになります。

●騒音問題:深夜まで大声で騒ぐ・大音量の音楽
●ゴミ問題:マンション共用部へのポイ捨て・唾吐き
●匂い(タバコ):ベランダでの喫煙により、火災の心配や健康被害

外国人ゲストは異なる文化や習慣の違いがあるため、日本人の考える常識や「これくらいはわかるだろう」という意識は通用しません。

トラブルの少ない民泊運営には、ゲストにルールをしっかり伝えることが大切です。

備品類の盗難

民泊施設には、家具や家電、食器などさまざまな備品があります。盗難されやすいものは、高価な備品や持ち運びやすいものです。

例えば、持ち帰りやすいドライヤーやタオル、シャンプーなどの消耗品が、ゲストのチェックアウト後に無くなっていたという事例があります。

盗難されやすい備品の例

●ドライヤー
●タオル
●シャンプーやコンディショナー
●小型のプロジェクター

備品の盗難を避けるためには事前に損害請求する旨伝えておくと、効果があります。

民泊施設の備品チェックリストを作成しておくと、チェックアウト後に確認できるのでおすすめです。

ゲストが体験したトラブル事例

ベッドイメージ

ここではゲストが体験したトラブルの事例を紹介します。

民泊運営でゲストを不安にさせない、トラブル回避の参考にしてください。

オーナーと連絡が取れない

施設の予約をしたが、オーナーから連絡が来ないトラブルがあります。

民泊ビジネスを副業としている場合、本業との兼ね合いで、すぐにメッセージを送れないこともあります。

しかし、ゲストからするとメッセージを送っても返信がない、電話をしてもつながらないといった状況は、不安やストレスを増大させることになります。

特に、チェックイン方法や鍵の受け渡し方法に関する連絡が滞ると、ゲストが不安になることを忘れてはいけません。

対策として、メッセージ代行と契約しておくこともおすすめです。オーナー様に代わり、ゲストとのメッセージを一括して任せることが可能となり、ゲストの満足度もアップすることになります。

予約内容と異なる

予約した民泊施設と実際の施設内容が違い、トラブルになることもあります。

予約サイトに掲載されている写真や説明文と異なっていたり、アメニティの不足や、あるはずの設備が故障して部屋にないといったケースが考えられます。

予約した内容との相違は、ゲストの期待を裏切り、大きな不満の原因となります。もし備品が故障してしまった場合は、ゲストに事前に説明することが求められます。

予約内容と相違がない状態か、清掃業者との綿密な打ち合わせが必要といえるでしょう。

場所がわからない

民泊施設の場所が分かりにくいというトラブルは、ゲストを困らせます。

これは、メッセージで送られてくる地図情報が不十分なことが原因です。

民泊施設には目立つ看板も無く、特に初めて訪れる場所や土地勘のない場所では、詳細な地図がないと、施設の場所がわかりません。今では誰もがスマートフォンを持ち歩ける環境であるため、GoogleMapを共有するとスムーズに宿まで到着できます。

民泊施設にたどり着けずに、オーナーとも連絡が取れない場合は、大きなトラブルに発展する可能性が高いので、十分な配慮が必要です。

トラブルがもたらす民泊施設への影響とは?

ここからはトラブルが起きた場合に、民泊施設への影響について解説します。

民泊ビジネスでは、リスクを理解してトラブルを最小限にする対策を講じることが重要です。

  • 民泊施設評価の低下
  • 事業廃止の可能性

民泊施設評価の低下

民泊施設でトラブルが発生した場合、ゲストは滞在中の不満を口コミで表現します。

バッドレビューに繋がる事例

●設備が故障していた
●部屋が汚い
●コミュニケーションが足りない

これらの口コミは、民泊施設を探す人の貴重な判断材料です。悪い口コミが広がると、民泊の印象が悪くなってしまうのは言うまでもありません。

特に民泊の大手プラットフォームであるAribnbではレビュー(口コミ)によって掲載順位が変わるともされています。掲載順位が落ちれば、予約数は減り、収益減少に直結することになります。

悪影響を広げないためにも、ゲストの満足度を第一優先に考えて宿を運営することが求められるのです。

事業廃止の可能性がある

民泊施設で度重なるトラブルが一向に改善されない場合は、近隣住民に通報されることもあります。

閑静な住宅街にある民泊施設では騒音やゴミ、タバコの匂いなどのトラブルによって事業の継続が難しくなることもあります。

問題を改善しない民泊施設は、近隣との信頼関係を失い事になります。また、住民からの通報が増えることで、行政指導や罰則対象、営業停止処分や事業廃止の可能性も考えられます。

住宅宿泊事業者にかかる罰則一覧は、以下のとおりです。

対象者罰則
・虚偽の届出をした者
・業務廃止命令に違反した者
6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれの併科
・住宅宿泊管理業者及び住宅宿泊仲介業者への委託義務に違反した者50万円以下の罰金
・変更の届出をしていない者又は虚偽の変更の届出をした者
・宿泊者名簿の備付け義務、標識の掲示義務に違反した者
・定期報告をしていない又は虚偽の報告をした者
・業務改善命令に違反した者
・報告徴収に応じない者又は虚偽の報告をした者
・立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
・質問に対して答弁しない者又は虚偽の答弁をした者
30万円以下の罰金
・事業廃止の届出をしていない者又は虚偽の事業廃止の届出をした者20万円以下の過料
出典:民泊制度ポータルサイト

このような事態を避けるためにも、民泊オーナーはトラブルを未然に防ぐ努力が必要になります。

民泊トラブルを回避するためのリスク管理

民泊トラブルは、事前に対策を立てておくと、ある程度のリスクを防げます。

ここでは、ゲストとのトラブルを回避するために、オーナーが実践できるリスク管理の方法を紹介します。

民泊オーナーが体験するトラブルへの対処法

民泊オーナーが直面するトラブルには、以下の対策が有効です。

トラブル事例対処法
セキュリティ問題電子キー・スマートロックを設置する
予備の物理キーを用意する
騒音、パーティーをされる事前に説明して、近隣に迷惑をかけた場合は罰金を設ける
ゴミの放置室内のゴミがいっぱいになった場合の対策を伝えたうえで、放置した場合は罰金を請求する
無断での人数超過入口付近にカメラを設置して状況を把握する人数を超過していた場合は正規の料金を請求する
物品の破損、持ち出し物品の破損について事前に説明、破損や持ち出された場合は請求
悪質な場合は警察に相談する

無人運営での民泊では鍵の引き渡しに立ち会えない場合を考慮し、電気キーやスマートロックの導入がおすすめです。また、電子キーの故障に備えて物理キーを用意しておくことも非常に重要となります。

その他の項目は、ハウスルールの表示や事前の説明により、罰則や損害の請求を明確に示すことで充分にトラブルを減らせるでしょう。

民泊ゲストが体験するトラブルへの対処法

ゲスト側が感じるトラブルは、以下の対応で減少します。運営の参考にしてください。

トラブル事例対処法
オーナーと連絡が取れないコミュニケーションが取れるように待機する
もしくはメッセージ代行を依頼する
予約内容が異なっている予約内容や写真と相違がないページを作り込む
第3者にチェックしてもらう
場所がわからない事前にGoogleマップなどを共有しておく
設備や備品の不具合いつでも駆けつけられるように近所の人を雇用する
清掃不備によるトラブルいつでも駆けつけられるように近所の人を雇用する
もしくは駆けつけ対応が可能な清掃業者と契約する

民泊ビジネスを副業として行う場合、全てをひとりで行うには限界があります。

部分的に業務代行を取り入れると、リスクを減らし、精神的・肉体的に無理をしない民泊の運営が可能になります。

民泊施設トラブルリスクの対処法

特に近隣との関係構築は、民泊運営で非常に重要な項目です。

トラブル事例対処法
近隣住民からの苦情普段から良好な関係の構築に努める
ゴミ捨ては、事業用のゴミ回収を定期的に依頼する
施設内の不具合定期的なメンテナンス
家電などの動作確認を怠らない

近隣からの通報により、民泊施設が業務停止になった事例もあります。

ゲストは滞在中に羽目を外すことが考えられますが、民泊施設が近隣住民の日々の生活を脅かすものにならないよう、配慮が必要です。

普段から民泊施設に行けないオーナーであれば、普段清掃で施設に行く清掃スタッフとの連携が必須です。チャットやLINEで連絡を取り合いながら、不具合が起きた場合にすぐ交換を用意できる体制を整えておくとトラブルが少なく済みます。

充分な対策をしたうえで、安全に民泊を運営することを心がけましょう。

民泊トラブルは対策が可能

トラブルの発生は、対策をしっかり行うことで、対処できることがほとんどです。

また、民泊のトラブルはコミュニケーション不足により生じる問題が多くあります。オーナーは周辺住民へ配慮をして、ハウスルールを守るようゲストへ徹底することが大切です。

ゲストの不安解消には、こまめなコミュニケーションが必要です。不明点や不安を解決することで滞在中のトラブルが減り、施設の評価向上につながります。

起こってしまったトラブルには、オーナーの迅速で冷静な対処で良し悪しが決まると言っても過言ではありません。

本記事で紹介した対策を参考に、トラブルのない民泊運営を目指しましょう。

この記事を書いた人

2006年から16年間ホテルに従事し、宿泊業に長く携わる。東京都内や地方都市で300室を超える客室の営業、管理を担う。Tabiiiでは営業やリスティング構築、運用などマネジメントを行う。

コメント

コメント一覧 (2件)

コメントする

目次